基本は「情報」、「レイアウト」は後の話

「Webデザイン」という言葉はここ10数年でごく自然な単語になりました。「人に見せる」以上、そのデザインに凝らないわけにはいかないのです。ですが、Webサイトにおける「デザイン」とは決して「芸術的なもの」ではありません。なぜなら、インターネットユーザーはそのサイトの「素晴らしいデザイン」を見に来ているわけではないからです。

Webサイトにおける「デザイン」とは「ユーザビリティ」です。Webデザイナーとは「使いやすさ」を追求する人のことをいうのです。使い辛いWebサイトは「よくデザインされたサイト」とはいえないのです。よくデザインされたサイトは「ユーザーのことをよく考えてつくられたサイト」のことを指すのです。それはやはり「必要な情報」に辿り着きやすいサイト、そして「他の情報も参照しやすいサイト」ということになります。「デザイナー」といえば先進的なイメージを持つかもしれませんが、実はインターネット上の「使いやすさのマナー」というのはある程度確立されているのです。あまり奇抜なサイトは好まれません。

Yahooを見てみましょう。有名ニュースサイトを見てみましょう。ひと目見ただけで、「どの情報にどうやって辿り着けるか」がわかるようになっているのではないでしょうか。使いやすいサイトとはそういうことです。人の目がさめるような素晴らしいデザインのWebサイトも確かにあります。先進的な情報を与えるようなWebサイトはたしかにあります。ですが、そのようなサイトが「使いやすいかどうか」は別の話なのではないでしょうか。先進的にデザインされたサイトは「ブランディング」を兼ねている場合が多いものです。そのようなサイトと、これから構築しようとしている、または運営している「ポータルサイト」とは別なのではないでしょうか。

Webサイトのデザインの基本は「レイアウト」です。ページ量が多くなる場合、まずはテンプレートとなるレイアウトを用意し、そこに情報を当てはめていきます。そのレイアウトは「ポータルサイト」であれば一般的なものであるべきなのです。問題はそこで提供する「情報」です。「情報の質」です。それを度外視して先駆的なレイアウトにばかり意識を向けると、ポータルサイトとしては「失敗」してしまうことが多いのです。ポータルサイトのWebマスターとして気にすべきはまずは「情報」です。レイアウトはそれらの情報を「どう収めるか」ということです。「何が先か」、「何が大切か」ということです。

ポータルサイトで行いたいのは「ブランディング」ではないのではないでしょうか。本当に提供したいのは「そのサイトの素晴らしいデザイン」ではないのではないでしょうか。「何が大切」なのか、考えてみましょう。デザインすることは確かに楽しいことです。Webサイトを構築することは確かに楽しいことです。ですが、ユーザーはそのようなものを期待してあなたのサイトに訪れるのでしょうか。答えは明白です。

ポータルサイトにとって大切なことは「配信する情報」そのものです。もちろん、ユーザーが「当たり前」と感じる、むしろ閲覧していて「使い辛い」と感じないある一定のナビゲーションは大切です。ですが、それも情報を提供しやすくするための工夫なのです。