誰が見ている?誰に見せている?

Yahooに勝てるポータルサイトなどは簡単には作れません。どのような運営体制にしても、すでに大手ポータルサイトの「インフラ」と化しつつあるYahooに競合するようなサイトを立ち上げ、Yahooに挑んだとしても勝てる見込みはほぼないでしょう。ですから、Yahooのいる「戦場」で戦いを挑んではいけないのです。見た目はそれらしいものにすることはいくらでもできます。ですが、圧倒的トラフィックを誇るYahooに今から勝てるわけはありません。

それは「YahooがあるからYahooのようなサイトを探している人はYahooで十分」だからです。毎日Yahooニュースを閲覧するインターネットユーザーに対して、いきなりYahooのような見知らぬサイトのニュースを勧めても無駄に終わってしまうのです。そもそも、サイトを立ち上げる際にもっとも重要なことがあります。それは「誰に見せるのか」ということです。誰に何を見せたいからポータルサイトを作るのか、ということです。そこがブレていると、そもそも「誰も見ません」。どのような分野であれ、突き詰めれば深く掘り下げられるものです。その道に関わる人ならではの「ニーズ」があるものです。これからポータルサイトを立ち上げる際、まず考えるべきなのは「特化」するということです。

経営的な考え方ですが、「選択と集中」という言葉があります。リソースは限られているため、幅広く手を伸ばすのではなく、そのリソースが最大限のパフォーマンスを発揮できるように取り扱う案件を特化させるのです。ポータルサイトとはいえ、「規模の小さなYahooです」といっても誰も訪れません。例えば「医療事務に従事する人のためのお悩み解決サイト」としてみるとどうでしょうか。そのサイトが相手とするユーザーの幅はグッと狭まったものの、「規模の小さなYahoo」よりも訪問者がぶれている多くなるようにイメージ出来ないでしょうか。「特化」するということは、対象ユーザーを絞りながらもその限られた層に対して強烈な訴求力を持たせるということになるのです。

「規模の小さなYahoo」は、誰が見てもいいようなサイトに感じられますが、すでにYahooがあるのに「わざわざ見る理由がない」のです。対して「医療事務に従事する人のためのお悩み解決サイト」であれば、その条件に合致するユーザーはその職業特有の悩みを解決するために「見る理由がある」のです。

「万人受け」するようなサイトは、「万人に無視される」可能性も高いのです。誰が見ても良いということは、「特徴もテーマも何もない」ことと同じなのです。たとえ見栄え良く作ったとしても、誰に対しても価値がないということは変わりません。これから新しく立ちあげようというのであれば、「選択と集中」を考えざるを得ないでしょう。Yahooをもう一つ立ち上げても、Yahooのユーザーは今まで慣れてきたYahooというサイトからわざわざ乗り換える必要がないからです。

そして医療事務のサイトに訪れるユーザーがYahooを使っていないとも限りません。選択と集中によって特化したサイトは、戦場がYahooとは違うのです。だから「生き残れる」のです。「みんなに」ではないのです。「誰に何を見せるのか」ということが重要です。